どうあがいても煮物は崩れる

基本的に分量は無視するスタイル。淡々と吐き出して整頓。

転勤族の妻視点での勝手な恨み言

心身ともに疲弊しすぎててtwitterから離れていたけれど、ここ数日思っていたことを書こうと思う。

 

カネカの育休明け即転勤辞令 の話題。

 

会社側としては違法ではないし法律の範囲内で人事権を運用しているとの見解。

まあ、「会社としては普段通りのことをした」だよね。

 

だが転勤を言い渡された方としては到底納得の行くものではないだろう。

配偶者と二人三脚で育児に関わり、マイホームを持ち育休から復帰しても一緒に暮らしていけると思った矢先の転勤辞令は理不尽としか思えない。

ワークライフバランスの実現?男は会社の命令にハイハイと従い、妻は涙をのんで受け入れろというのがこの会社の方針なんだろうかね。

(追記:転勤ありの職種なら仕方ないけれど、とはいえ急な辞令とか家庭のタイミングとかもある程度は考慮されて欲しいと思った)

 

 

私自身も転勤族の妻だ。

夫が転勤族であるのを承知して結婚したし、今でも後悔はない。

 

だが、転勤によって失うものが多かったなあとは常々感じている。

 

夫には転勤先にもちゃんと席(居場所)が用意されているのに、妻や子供はまた新たな土地で人間関係も何もかもゼロからのスタートだ。

少しずつ時間をかけて人や土地での繋がりを持ち、根を張った矢先にまた次の転勤命令が来る。己の作った根を引っこ抜きまた次の土地に行くしかない。

 

私は結婚当時勤めていた会社を、新婚6ヶ月で夫の転勤に伴い退職した。

せっかくの正社員の椅子をそこで手放した。

 

転勤先で勤め先を探すにも、「転勤族の妻」というだけで正社員の門戸はほぼ開かれていない。そりゃそうだ、いついなくなるか分からない人材なんて採りたくないだろう。

ましてや子持ちだったら正社員としてどこかに拾ってもらうなんて至難の業。

よほどの幸運の持ち主じゃないと無理だ。

 

共働き世帯がこれだけ増えている昨今でも、転勤によって泣く泣く退職を選ぶ、もしくはスキルやキャリアがあっても正社員を諦めパートを選ばざるを得ない女性は多いはず。

ましてや夫の転勤ペースが1,2年ならそもそも働く事すら諦めるだろう。

人手不足だとか主婦も働けとか言うなら、スパンの短い転勤命令は止めようや。

それか全国で転勤族の配偶者を優先的に雇うとかしてくれないか。

 

自分は転勤族の奥さんでなければ社員にしてあげられたんだけど、とこの3年間ずっと言われ続けて最低賃金パートとして働かざるを得なかった。

子持ち主婦が雇って貰ってるだけでもありがたく思えと言われるので、まあそれもあるよな、と思いながら続けたけれど、それも間もなく終わりだ。

 

 

あと、転勤命令から着任までの期間も短すぎる

夫の職場はいつも3週間前に正式辞令だ。

事前にどこどこに飛ばすよ、と言われたりはするが、正式辞令で全然違う地域に行けと言われることだってある。新婚半年で出た辞令はまさにそれだった。

 

3週間で物件を探し、水道ガス電気の停止と新規契約、市役所にいって転出転入の手続き……当時自分もフルタイム勤務だったのでとても大変だった。

子供が生まれてからは働いてはいなかったが、それでも引っ越しに伴う一連の手続きは本当に大変だった。常にどこかに電話したり、かかってきたり、日中ワンオペで子供を見ながらの電話応対、荷造りは大変という言葉だけではとても表現しきれない。

 

市役所での手続きも子供がいれば夫婦二人だった頃よりはるかに増える。

 

児童手当や乳幼児医療補助などの手続きで市役所で何時間も待たされたり、免許証の書き換えや諸々はしごしなければならない。
これを幼子を抱えて自分一人でこなすのは本当にしんどかった。

 

そして、遠方への転勤に帯同する妻の多くは既に無職。
自治体によるが、よほど空きがなければ保育所には入れない。
求職中という形にして入所希望を出しても、都市部なら「うちの市では空きがないので無理ですね」と断られるだろう。

 

預け先がなければ働き口も探せない。

 

件のカネカ育休転勤の奥様も、激戦の保活をくぐり抜けてお子さんを入所させたという。
転勤に帯同した先で確実に保育園に入れる保証がないのだから不安も大きいだろう。

 

保育園でなくても、子供に合いそうな、ちょうどいい幼稚園に定員の空きがあるかも調べなければならない。

園や学校が変わると言うことは、必要な用品もまた変わると言うこと。
その準備も大抵妻が担っている家庭が大半だろう。

 

私立の園や学校なら入学金だって必要だ。
転勤がなければ払わなくていい費用がどんどん出ていく。

 

中には1年ごとに転勤のある家庭もいる。
子供にとっては、せっかく慣れた園の生活から新しい場所に馴染めと言われるわけだ。
そのケアやフォローも大抵母親(妻)の仕事になっちゃうんだよな。

 

会社の人事担当は、そういう事もちゃんと考えて辞令を出しているのか?と時に怒りすら感じる。
そもそも、この国の転勤制度の根底に「妻が専業主婦or仕事を辞めて帯同してくれるだろう」という前提があるのが問題だ。
妻がバリバリ働く正社員だろうが何だろうが、幼い子供がいようが受験生がいようが、障害を持っていようがおかまいなし。


私達だって社会の一員として、家事育児だけでなく働いたり、その地域に根を下ろして暮らしたい。
そう願う人だっているはずだ。

 

それなのに、転勤制度はそんな配偶者や子供達の事は一切無視で「はい転勤してね、準備は全部君らがやってね、奥さんが働いてる?辞めて貰うか単身赴任すれば。引っ越し費用などの手当はちょっと出すけどあとは知らないよ」で何十年もやってきたのだ。


あとマイホーム買ったら転勤命令、これ絶対ある。
私の周りも少なからず事例があるし、先日は身内(弟一家)がこの憂き目にあった。
土地契約したその月のうちに転勤辞令を受けた。義妹は出産直前だった。

今は単身赴任している。イコール妻がワンオペ生活だ。


我が家は次の転勤先で家を建てる予定だが、夫だけ突然地方に飛ばされるのではないかと危惧している。
現時点ではここ2年ほど本社のある関東に戻ってこいという話らしいのだが、はてさてどうなるか。

 

 

もしこのブログを人事担当や政治に関わる方が読んで下さっているとしたら、心からお願いしたい。


そろそろ現在の転勤制度に限界が来ている事を知って、そして見直してくれないだろうか。
ワークライフバランスって言葉の意味をちゃんと考えてくれないだろうか。

家族全員で一つ屋根の下で数年落ち着いて暮らす事を望んではいけないのか?


何のための転勤制度なんだ。
せめて、幼子のいる家庭を短いスパンであちこち飛ばすのは止めて欲しい。
それか、未婚既婚家族構成にかかわらず、転勤を受け入れる社員がいたら、存分な手当を出して欲しい。
家族がいればそれだけ失うものが多すぎる。

 

現状、転勤族の妻はただ我慢して受け入れて、その都度疲弊するしかないのか。
そればかりを考えている。

 

あ、転勤族とわかってて結婚したやつが悪いってクソリプ来そうだけど、そしたら多分未婚率すっごい上がりそうだし、転勤のない企業勤めの男性の婚姻率が上がるかって言われたら多分そうじゃないと思うわ。